足場職人とは、ただ高い場所で作業をする人ではない。 誰かが安心して働ける「場」を、空中に生み出す人なのだと思う。
建物が完成すれば、足場は静かに解体されて消えていく。 形として残ることはない。 けれど、その見えない場所にこそ、職人の技術や覚悟が積み重なっている。
一本のパイプを掛けること。 一枚の床を渡すこと。 その一つ一つに、人の命を預かる重さがある。
だから足場職人は、速さだけではなく、強さだけでもなく、 「見えない危険を想像できる人」であるべきなのかもしれない。
風を読み、地面を感じ、仲間の動きを察しながら、 まだ形のない未来の建物を支える。
主役ではない。 名前が残ることも少ない。 それでも誰かの仕事を支え、街を支え、人の暮らしを支えている。 足場とは、建物を支える鉄ではなく、 人の営みを支えるための、一時の大地なのだと思う。
